小説『ノルウェイの森』が好きです

僕は小説『ノルウェイの森』(村上春樹著)が好きです。村上氏の作品は全部読んだというわけではないので、ハルキストというよりこの作品の世界観そのものが好きなんだと思います。
コロナ禍の2020年からsnsで読書記録を始めました。今年(2025年)の3月からは、Readsで読んだ本、気になった本を公開・記録しています。読書記録は、自分が読んでいる本や気になる本を基本的にすべてアップしていきます。直球で表現するのをあまり好まない自分は、あれだけ売れたこの小説が好きだというのが恥ずかしかった時期があります。
『ノルウェイの森』は恐らく二、三年遅れてのリアルタイムで読みました。当時、書店の入口で平積みされた印象的な赤と緑の表紙の装丁でハードカバーのこの小説を上下二冊購入したことを覚えています。
本を初めて買った頃は、自分もややこしい恋をしている時でした。あとは自分の境遇も健康ではなかったりして、作品の登場人物達の背景に共感するものがあったせいか、入手したあとも何度も読み返すことになりました。東京に住んでいたということも物語に共感した理由のひとつかもしれません。
主人公のワタナベ君とほかに登場してくる人達すべてをひっくるめて好きでしたね。その上下巻には普通、言葉では言い表せないようなことがすんなりと表現してありました。
自分自身は高校時代に付き合っていた女性と離れ離れにならなくてはいけなくなり大変な思いをした経験があります。そのような恋愛の複雑さがこの小説にはそっと表現されている気がしました。上手くいかない恋と、そうではない恋。主人公の眼差し。巡る想い。
最初に購入した『ノルウェイの森』は、不要になり古書店に売ってしまいました。その後、まだ本の価値が店ごとに違っていたBOOK OFFで、初版本を上下巻各100円で買い直しました。今でも大事に持っています。
2010年にトラン・アン・ユン監督によって、彼自身の脚本で実写化された映画は、もちろん映画館で観ました。自分の中の小説の世界観と、監督の表現する作品との答え合わせは興味深かったです。
何度読み返したでしょう。両手くらいでしょうか。映画も何回か観直して、DVDも買いました。きっとこんなに深くはまった小説は他にはないと思います。小説の世界に入り込む時、主人公と自分を重ねたりしてきました。読み返す時もまた再会できたという喜びをいつも感じます。
今は、時代が巡ってしまいどう感じるか分からないのですが、若い人も読む機会があればおすすめします。読んだあとでこの物語の話がしてみたいです。
初出:2025年4月3日 『小説『ノルウェイの森』が好きです』 / note(@86bunko)
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